バレエは敷居を高くするべき|石井久美子さんの発言をめぐって

バレエは敷居を高くするべき|石井久美子さんの発言をめぐって

バレエ界で意見を発信することは、思っている以上に難しいものです。

一言で炎上してしまうこともあります。

それでも、自分の考えを言葉にして伝えることは、とても大切なことだと思います。

今回は、「バレエは敷居を高くするべき」という意見を述べた石井久美子さんの発信をめぐって考えたいと思います。

議論と批判のあいだにあるもの

バレエ界では「意見を言う=批判している」と受け取られることが多いように感じます。けれども意見を述べること自体、悪いことではありません。

少なくとも芸術の世界では、多様な意見がある方が健全だと僕は思います。意見を言わないまま沈黙してしまうよりも、時にぶつかりながらも考えを共有する方が、次の世代にとっても有益だと思うからです。

「バレエは敷居が高いのか」──松浦景子さんとのすれ違い

以前、吉本興業所属の芸人・松浦景子さんが、自身のYouTubeチャンネルで発信した内容をきっかけに炎上しました。

その際、ロシア・マリインスキーバレエ団で活躍していた石井久美子さんが「バレエはそもそも敷居が高いもの」という趣旨の意見を動画で発表し、議論を呼びました。

タイミング的にも敏感な話題だったため、石井さんの動画は一部で「松浦さん批判」と受け止められてしまいました。しかし実際の意図は、もっと深い部分にあったように思います。

石井久美子さん

石井久美子さんは、ロシアの名門・マリインスキーバレエ団の正団員として活躍していた日本人ダンサーです。YouTubeでクラシックバレエのクラスや、海外での生活を紹介する質の高い動画を数多く配信しています。

自分の意見を明確に伝えるタイプで、「バレエの敷居を高く」と表明した動画もその誠実さが表れていました。(現在この動画は削除されています。)

ただし、表現の一部が鋭く聞こえてしまい、誤解を招く結果になりました。

炎上の経緯と石井さんのコメント

事の流れを整理すると、次のようになります。

1:石井さんが「バレエの敷居」についての動画を投稿(現在は削除)
2:バレエyoutuber猪野さんがその内容を批判する動画を投稿
3:石井さんが猪野さんのコメント欄で長文の説明コメントを掲載(現在は削除:全文は最後に載せています)

コメントの中で石井さんは、誤解を受けた部分を丁寧に訂正しています。要点をまとめると以下の通りです。

・松浦景子さんの活動を批判したわけではない。むしろ「バレエを広めてくれて嬉しい」と思っている。

・ロシアでは伝統的なバレエが国の文化や社会に深く根付いており、「高貴なもの」として位置づけられている。その背景を伝えたかった。

・「お笑いやおふざけで終わってほしくない」という表現は、バレエを貶める意図ではなく、クラシックバレエの本質が薄れてしまうことへの危機感から出たもの。

・「本来のバレエ」という表現が誤解を生み、日本のバレエ文化を否定するように受け取られたのは自分のミスだと反省している。

彼女のコメントには、プロとしての責任感と、バレエ文化に対する深い敬意が感じられます。

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芸術を守りたいという“情熱”の表現

当時の石井さんは、ロシアという厳しい伝統の中、命懸けで踊る環境に身を置いていました。舞台は「国家行事」に近い位置づけであり、日常的に大統領や政府関係者の前で踊ることもあるそうです。

そうした背景を知ると、「高貴」という言葉が単なる誇張ではなく、文化的現実に基づく感覚であることが理解できます。

同時に、日本での“自由なバレエの楽しみ方”との価値観の違いも、今回の誤解を生んだ一因です。

僕が感じたこと

僕も最初に石井さんの動画を見たとき、「この出し方で誤解されないかな……」と思いました。でも、彼女の他の発信を見てきた身としては、批判ではなく“愛情の裏返し”のように感じました。

表現が鋭くても、根っこには「バレエを守りたい」という情熱がある。それを伝える難しさが、今回の出来事に表れていた気がします。

意見を言うことの大切さ

バレエ界では、意見を公にするダンサーが少ないのが現実です。だからこそ、石井さんのように自分の言葉で語る姿勢は貴重だと思います。

意見を言うことは、誰かを傷つけるリスクを伴います。でも同時に、沈黙が文化を停滞させることもあります。

石井久美子さんの発言は、議論の難しさと同時に、「意見を言ってもいい」という勇気を示してくれたように思います。

「敷居が高い」という言葉も、決して排他的なものではなく、伝統を大切にしたいという願いから出たものだったはずです。

コメント原文

現在は削除されていることご留意ください。

動画見させていただきました。

まず、最初にお伝えしたいのが松浦さんがバレエを教えること、広める事は私自身一切批判していません。むしろバレエを広めて下さって嬉しいと思っていますし、私も皆さんと同じく、彼女のつくり出す面白いバレエの世界観を楽しんでいるうちの一人です。

そして動画主さんが私に関しておっしゃられている、熊川さんのようにならない限り発言するな、的な、私には今はまだ何も言う権限がない、と差別的な言葉がありましたが私はその差別的な言葉は引きずらずに一切忘れます。

この様な言葉に腹を立て、コメントしているわけではありません。ただ、それとは別の松浦さんに対しての私の本当の思いとは違う勘違いを広められることがあるのはとても心外でしたのでコメントさせていただきました。(少なからず私にも原因はありますが)

まず私がシェアした翠ちゃんの投稿については、例えば、私たちの劇場では毎年プーチン大統領や政府の方達の為に踊らさせていただく、わざわざ道路を封鎖してまで公演をさせて頂くこともあるくらいでロシアの伝統的なバレエはやはり正直高貴なバレエだと私自身自覚しています。

自慢とか日本バレエを貶す、とかそういうのではなくロシアバレエはこのような世界ですので翠ちゃんが書いてくれてる伝統的なバレエの楽しみ方というのは、あの文章の通りで本当に現実であり、決して自慢や嫌味を言っているわけでは本当にない、ということを私からも伝えたいです。

そして私のYouTubeチャンネルの動画で私自身がオープニングで書いた"バレエがお笑いやおふざけで終わってほしくない"という誤解を生むような表現に関して、、言葉不足でしたのでこの場を借りて私の本心を誤解が生まれない様ちゃんとご説明させていただきたいと思います。

松浦さんの様なバレエを面白おかしく広めてくださる方、その他YouTuberの方達がいるからこそ、バレエを知らない方々への興味・関心も増え、バレエを知ってもらうきっかけ作りが出来ていているんだな、と。

そこからどんどんバレエが日本にも広まると良いな、とも思っている反面、バレエを沢山の人に知ってもらうためにやっているお笑いやYouTubeなどのおふざけを含む楽しいバレエばかりが一人歩きをして、沢山の人に広まってしまうことに危機感を感じてしまったのも事実です。

ただそれはロシアバレエに身を置く私だから感じてしまったもので日本の方には感じない、理解し難い感情なのかもしれません。

普段はロシアバレエに身を置く私達…といってもプロになる少し前までは日本でバレエをしてきていたのが事実ですし、日本人なのには変わりないので日本のバレエ界に身を置いてなくとも、私たちが普段から舞台で感じて大切にしているものが全くなくなってしまうような危機感、というのは少なからず感じてしまいました…。

なんと言ったら良いんでしょうか…。

私たちが命懸けでやっているバレエが、日本でバレエが広まれば広まるほど薄れていってしまうような皆さんには理解し難い謎な危機感を感じた、といいますか…。

それでバレエがお笑いやおふざけで終わって欲しくない、という様な表現、言い回しになってしまいました。傷ついてしまった方には申し訳ないです。

ただ、このことについても、イコール松浦さんのお笑いが原因、いけない、なんて私は少しも思ってないです。

バレエが日本に、世間に広まる過程で、やいやいとしたバレエだけが広まるのではなく、他にもロシアバレエの様な楽しみ方もある、ということが知識だけでも一緒に広まればいいなと、ただただシンプルにそういう思いでシェア、そしてコメントしました。

そしてもう一つ、、、私が、ロシアの伝統的なバレエ、という意味で"本来のバレエは…"などと、言葉を選び間違えた事で、ロシアバレエと日本のバレエの定義がごちゃ混ぜになってしまったことがこうなってしまったきっかけになってしまったかもしれません。

私自身強要するつもりも批判するつもりも一切なかったです。ロシアバレエはロシアバレエ、日本のバレエは日本のバレエですもんね。伝統的なバレエという言葉ではなく、本来のバレエ、という言い方をしてしまった上に、更に私はバレエは特別であってほしい、などとも発言しているので日本のバレエもロシアバレエのようにこうあるべき、という話な言い分に聞こえたのかもなぁ、と思いました。

ロシアバレエは高貴なものだ、と言うことに賛同しているにも関わらず、私が言葉選びを間違えてしまったせいで、日本で趣味のバレエをしてる方などに対し、日本でもバレエは高貴なものなんだ、と。上から目線で言っているかのような、誤解を生む伝え方になってしまったかもしれません。そこは私のミスであり、自由にバレエを楽しんでいる方に対しては申し訳ないと思っています。すみません。

以上、私が皆さんに向けて改めて言いたかったことです。

バレエを知らない人に対して、私がバレを広められるか、と言ったら動画主の方が言っているように無理だと思います。それは賛成させていただきます。

ただ、動画主さんは勘違いされている様で、動画主さんと私ではYouTubeをやる上で主旨が違います。私は、バレエを広めよう!と思ってYouTubeやSNSで動画配信している人間ではないです…。

私の動画やバレエ知識はバレエ界に身を置く人への材料になればいいな、という思いで公開しているだけです。

登録者数を増やしてYouTube界で有名になるんだ!という強い意思でやっているものでもなく、本業優先で時間と余裕のある時にやっている趣味のようなものです。

P.S.

SNS上で活動する際、私は顔や名前など、個人情報を出して活動をしている中で、顔も名前も出さない方に批判をされることがあっても普段はお答えしていません。ただ今回はお顔も出して面と向かって言ってくださったのでお返事しよう、と思いました。

youtubeコメント欄より(現在は削除済)

議論はぶつかってもいい。ただ、その後に理解し合えることが、もっとも大事なのだと思います。

バレリーナ芸人・松浦景子の挑戦:バレエを「誰が教えるか」論争

バレリーナ芸人・松浦景子の挑戦:バレエを「誰が教えるか」論争

お笑い芸人であり、バレリーナでもある 松浦景子さん(吉本興業所属)が、2021年4月にバレエのワークショップを主催し、「芸人がバレエを教えるのはおかしい」という批判を受けて炎上しました。

松浦景子さん

松浦景子さんは、3歳からバレエを始め、25年以上にわたるキャリアを持つ「バレリーナ芸人」です。2015年、全国クラシックバレエコンクールで優勝経験があり、YouTubeではバレエネタ動画がバズっています。

この動画、めちゃめちゃ共感しますし、本当におもしろいです。

松浦さんはこういった動画だけでなく、レッスン動画、そしてオンラインレッスンも開いています。

オンラインレッスン

松浦さんはこれらのネタ動画だけでなく、ワンコイン(1時間500円)の有料オンラインレッスンも展開しており、100人の定員が埋まる回もある人気ぶりです。全国どこからでも参加可能な形式で、バレエ初心者や久しぶりに再開する人にも門戸を広げています。
 
ただ一方で、「芸人だから教える力量はどうか」「バレエの専門性を損なうのでは」という意見も少なくありません。従来「バレエ=厳格で高い専門性」というイメージが強かっただけに、松浦さんのようなスタイルは賛否を呼びやすいのです。

「芸人のくせに教えるなんてバレエに失礼」

「先生じゃないのに人に教えるな」

「価値ない」

「松浦景子に払うなんてお金がもったいない」

沢山のご意見をいただいたり現役のバレエ講師の皆様、親御様方から
お叱りのご意見、SNS投稿、色んな憶測の噂まで
全て私の目、耳まで届いておりました。

実は、すごい量でした。

youtubeの本人のコメントより

この事例は、バレエという芸術を「敷居高く保つべきか」「もっと身近に広めるべきか」という議論のきっかけになりました。

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レッスンの目的

松浦景子さんのレッスンは「完璧なテクニックを身につける場」ではなく、まずバレエを楽しむことを大切にしています。

バレエをもっと多くの人に、身近に感じてもらいたいという想いが根底にあり、「鑑賞メイン」「特別な人だけが参加できる」というイメージを少しでも払拭しようという想いが伝わります。

日本では、バレエ公演の観客数が伸び悩んでいたり、大人が習い事としてバレエを選びづらいという側面もあります。

そのため松浦さんは、自身の YouTube チャンネルで「バレエあるある」や初心者向けレッスン動画を発信し、笑いと動きを交えて「バレエ=ちょっと敷居が高い」という印象を和らげる活動を行っています。

バレエの広め方

この炎上をきっかけに、バレエ業界内外で「バレエの敷居を下げることは良いことか、それとも伝統を守るために高さを維持すべきか」という議論も起こっています。

バレエの敷居は高いままで

石井久美子さん(マリインスキー・バレエ団所属)は、「バレエという芸術の価値を保つためには敷居をある程度高く維持すべきだ」という主旨の動画を公開しました。 実際、石井さんは日本人として初めてマリインスキー・バレエ団に正式入団しており、厳格なプロフェッショナル環境でキャリアを築いてきました。

この動画が、松浦景子さんのように「もっと気軽にバレエを楽しめるようにしたい」という活動をしている人たちに対し、意図せず議論を巻き起こしてしまった形になっています。

石井さんの動画にも否定的なコメントが多く寄せられました。ですが、石井さんが松浦さん自身を直接否定したわけではなく、言い方やタイミング、動画が長尺で一部分だけしか見ていない人によって、さらなる炎上に発展したようです。

バレエの資格

日本では、バレエを教えるための国家資格は存在しません。実際に、4,000校〜4,600校とされるバレエ教室のうち、約70%〜80%が個人経営というデータもあります。

なぜこれだけ教室が多いのかというと、指導者に対する法的な「教えるための資格制度」が定められていないためとも言われます。対して、バレエ大国であるロシアやフランスでは、指導者養成やスタジオ設備に関して厳しい基準や認定制度が存在します。

今回、松浦景子さんが「教える立場」に立ったことで、「おまえなんかが教えるな!」といった心無い意見も多数集まりました。

ただし、そもそも日本において、「バレエを誰が教えるべきか?」という疑問に対しひとつの答えが示されています。

「誰が教えても良い」のです。

落ち着きました

その後、松浦さんを支持するバレエ関係者が一定数登場したことで炎上騒動は落ち着きました。

最後に松浦さんの本の紹介です。

1,600円ほどです。

ありがとうございました。